条件は選べない。でも、その中の一手は選べる ――このブログのこと
執筆:オペラシンフォニー
このブログを開いた理由を、最初に書いておきます。投資と、子どものサッカー育成。まるで関係のない二つに見えて、どちらも同じ一つのことを言っていました。条件は選べない。でも、その中の一手は選べる。
はじめまして。このブログを開いた理由を、最初に書いておきます。
私は、二つの世界に片足ずつ置いています。ひとつは、投資。もうひとつは、子どものサッカーの育成です。
まるで関係のない二つに見えます。でも、長くやっているうちに、どちらも同じ一つのことを言っているのだと気づきました。
――条件は、選べない。
相場は、こちらの都合では動きません。金利も、為替も、いつ何が起きるかも。マーケットのほとんどは、向こうから配られてくる「条件」でできています。
子どもも、同じです。身長も、生まれた月も、家庭の事情も、本人には選べません。早生まれで体の小さい子が、恵まれた子と同じ土俵に立たされる。それが育成の現場です。
条件は、選べない。これは、動かせない事実です。
でも――と、私はいつもそこで踏みとどまります。
条件は選べなくても、その中の一手は、選べる。
このブログが、たった一つ言いたいのは、これだけです。
私には、二人の「敵」がいます。
ひとつは、「もう条件で決まっている」という諦め。生まれた場所で、持っている金額で、勝負は最初からついている――という考え方です。
もうひとつは、「お金で解決すればいい」という思い込み。いい銘柄を買えば、強いクラブに入れれば、なんとかなる――という考え方です。
この二つは、正反対に見えて、根っこは同じです。どちらも、自分の一手を、手放している。
私は、そうは思いません。どんな条件にも、その中での最適の一手が、必ずあります。お金をかけるかどうかさえ、選べる一手のひとつにすぎません。
このブログでは、その中でも、子どものサッカー育成の話を書いていきます。
育成の現場は、いちばん露骨に「条件」がものを言う場所に見えます。背の高い子が勝ち、成長の早い子が残る。早く生まれた、体の大きい子が、次々に選ばれていく。そう見えます。
でも、本当にそうか。私は、それを確かめたかった。
だから、二人の少年の物語を、育成の目で書くことにしました。『背番号と請求書』です。
一人は、足が速く、早くから「10番」と呼ばれた子。より強いチーム、より多い遠征、より高い月謝。恵まれた条件を、さらにお金と時間で、上乗せしていきました。
もう一人は、足が遅く、体の重い子。走って追いつけないぶん、来る前に、そこにいることを覚えた。派手さはないけれど、体を守って、静かに伸びていきました。
削られていく才能と、守られて伸びる才能。数字で測れる速さと、数字にならない読み。二人の道のりを通して、「条件の中の一手」とは何かを、書きました。
どんな条件にも、その中での勝ち筋は、必ずある。条件は選べなくても、その中の一手は、選べる。それを、一話ずつ確かめていきます。
物語(連載小説『背番号と請求書』)が本編で、このブログは、その考え方を現実の育成に引き直す「補助線」です。
ただ、『背番号と請求書』は、あくまで最初の題材のひとつにすぎません。この物語を書き終えても、話はそこで終わりません。
また別の切り口から、子どもの育成の話を、ここで続けていきます。足が遅いこと、体が小さいこと、早生まれのこと、お金と時間のかけ方、伸びる時期の待ち方。現場で出会う「選べない条件」と「選べる一手」を、これからも一つずつ書いていくつもりです。
派手な話は書きません。正しい一手は、たいてい地味です。すぐには報われないし、目立ちもしない。
でも、条件のせいにして立ち止まるより、ずっと遠くまで行けます。
配られた条件の中で、次の一手を、静かに選ぶ。
その記録を、ここに書いていきます。どうぞ、お付き合いください。